しっくり来てますか?

たまに思いつくことで、「これはすごい発見をした!」などと思うことがあるが、そういうものはほぼもれなく、当たり前のこと、ほかの誰かがすでに発見していること、である。

たとえば、今日、「金は天下の回り物というが、金は縦横無尽にめぐってはいない。いろいろな小さな社会のなかで巡っている。複数の宇宙があるかのように、経済圏も複数が独立、連携している」と思ったのだが、消費性向によるグループ分け、といってしまえばそれまでだし、あまりにあたり前な考え方だろう。

要は、私は発見していないし、何も人類の知見の進歩に寄与していない。ただ、すでにある考え方や知識が「自分にしっくり来た」だけなのである。

でも、そういう「しっくりきた」という感覚は重要だと思う。これが理解ということなのかと思う。「しっくりきた」の事前と事後で、持っている知識の総量は何も変わらない。ただ、自分の中のその知識に対するしっくり感が発生したという違いに過ぎない。それでも理解にとってこの違いが大きいのではなかろうかと。「理解はできる。でもしっくりこない」という知識は、自分の知識としては語れない。

どうやったら「しっくり」くるのかはわからない。上述のしっくりも唐突にきた。ぼんやりとそのことを考えているとしっくりくるような気もする。この「しっくり」させることをマスターできたら、学習のヒントになるのではないか。